ヴラト・ペルルミューテル モーツァルト ピアノソナタ 第6番 K.284「デュルニッツ」

 フランスの名ピアニスト、ヴラド・ペルルミューテル、モーツァルト ピアノソナタ 第6番 K.284「デュルニッツ」1956年6月の録音。モーツァルト18歳の作品、このソナタは、K.279-K.284の6曲をまとめて、ミュンヒェンのデュルニッツ男爵に献呈した中の1曲、この作品が「デュルニッツ」と称されるには、大変充実した内容による。

 第1楽章。きびきびした動き、透明感ある音色。イタリア風の快活さがあふれている。典雅さも備えている。第2楽章。歌心溢れる演奏で、わざとらしさもない。音色もモーツァルトに相応しい。第3楽章。主題と12の変奏曲。歌心溢れる主題から、12の変奏が展開する。これ見よがしではない、自然な音楽が流れている。モーツァルトの機知にとんだユーモアも垣間見える。歌心も十分である。第11変奏では、初版によるものを用い、たっぷりと歌い上げている。最後の変奏は、総まとめで、しっかりまとめている。

 この時、モーツァルトは、オペラ「偽りの女庭師」を作曲、ミュンヒェンで上演した。この作品は、モーツァルトがヴィーンに移住した後、ドイツ語版「恋の花つくり」に改訂した。後、オペラ「イドメネオ」をミュンヒェンで上演後、ザルツブルクの大司教、ヒエロニュムス・フォン・コロレド侯爵と大喧嘩の末、ヴィーンに移住したことを思うと、ミュンヒェンは、モーツァルトにとって、人生の転機となった地かもしれない。