フランスのチェリスト、ポール・トルトゥリエ、アルフレッド・コルトー、ヴィルヘルム・ケンプに師事、ドイツ・フランスの要素を併せ持ったエリック・ハイドシェックによるベートーヴェン チェロソナタ 第3番 Op.69。
第1楽章の伸びやかさ、スケールの大きさ、歌心。それらが調和して大きな世界を作り上げている。コーダの堂々とした締めくくりは効きものである。第2楽章。スケルツォの不気味さ、スケールの大きさ。トリオのチェロの歌、ピアノとの絡み合いが見事である。第3楽章。ゆったりした導入の絡み合いか素晴らしい。チェロ、ピアノがじっくり歌う。ロンド主部でもスケールの大きさ、伸びやかさ、歌心が見事に調和している。
ベートーヴェンがチェロを独奏楽器として、見事な作品を残している。第3番は、チェロが完全な独奏楽器となり、ピアノと対等に渡り合っている。秘書役を務め、優れたチェリストでもあったイグナッツ・フォン・グライヒェンシュタイン男爵に献呈している。1810年、ベートーヴェンは、富豪マルファッティ家の令嬢、テレーゼに恋したものの、断られている。グライヒェンシュタイン男爵は妹アンナと結婚した。結婚を断った時のベート―ヴェンの落胆ぶりを察すると、グライヒェンシュタイン男爵は何も言わずに済んだことはむしろ、よかったかもしれない。
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太田義章 (火曜日, 18 4月 2023 14:15)
往年の名手による素晴らしい演奏を楽しみました。ありがとうございます�。昔の話になりますが東京近県の地方の国立大学の在学中、クラリネットを担当しておりました。チェロの毛利伯郎さんが未だ学生さんの頃、ゲストソリストとしてドボルザークのチェロ協奏曲を弾かれた姿をなぜか思い出してしまいました。
畑山千恵子 (火曜日, 18 4月 2023 14:57)
ありがとうございました。ハイドシェックのベート―ヴェンツィクルスも聴きました。ただ、全曲と言うまでにはいきませんでした。