アントニオ・メネセス、マリア・ジョアン・ピレシュによるベートーヴェン チェロソナタ 第3番 Op.69。2018年10月9日のコンサート・ライヴ。
メネセス、ピレシュが一体となって、ベートーヴェンの音楽を繰り広げていく。第1楽章。スケールの大きさ、歌心、伸びやかさが見事である。円熟期の傑作に相応しい風格も感じられる。ピレシュのピアノも雄弁である。音色も聴きものである。第2楽章。スケルツォの鋭さ、トリオでのメネセスの歌心が素晴らしい。ピレシュのピアノも見事である。A-B-A-B-Aのロンド風で、スケールも大きい。第3楽章。序奏の豊かな歌心。メネセス、ピレシュが見事な歌を聴かせている。ロンド主部に入ると、ピレシュ、メネセスがスケールの大きな音楽を繰り広げていく。
ベートーヴェンのチェロソナタ創作史を見ると、ベルリンで出会ったジャン・ルイ・デュポール、ハイドンもうならせたアントン・クラフト、シュパンツィッヒ弦楽四重奏団のメンバーだったヨーゼフ・リンケと言った名手たちとの出会いが大きい。シュパンツィッヒが独立したプロの弦楽四重奏団を結成して、ヴィーンの音楽界を盛り立てたことを思うと、音楽は貴族たちだけのものではなくなり、市民もコンサートに通うことができるようになった。次第に、音楽は市民社会のものとなった。
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