佐藤俊介 ディエゴ・アレス バッハ ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ 第6番(1739/40年稿) BWV1019b

 オランダ、バッハ協会によるバッハ全作品集。佐藤俊介のヴァイオリン、ディエゴ・アレスのチェンバロによるヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ。こちらは1739年~1740年のエディション、5楽章になっている。

 第1楽章の闊達さ、第2楽章、第3楽章もじっくり聴かせる。第4楽章の歌心が素晴らしい。第5楽章は第1楽章の繰り返しとなって、プレストとなって、生き生きとした推進力がある。

 このソナタは3通りの版がある。第2稿は第1楽章、第5楽章が同じでありながらテンポが違っている。第2、第3楽章は長調、第4楽章が短調となっている。バッハは様々な組み合わせの楽章配置を取ったとはいえ、ヴァイオリン、チェンバロが対等の立場となっている。独奏楽器としてのヴァイオリン、チェンバロによるアンサンブルで互いに主張し合い、調和しながら、本格的な独奏ソナタとして聴かせ所を形成している。

 急ー緩ー急の楽章構成を取っていることが、ヴァイオリン、チェンバロを対等の立場で扱うようになり、単なる通奏低音としてのチェンバロから、独奏楽器としてのチェンバロとなっている。それがピアノとなると、完全に台頭となる。緩ー急ー緩-急の教会ソナタ構成から、本格的な独奏楽器同士のアンサンブル・ソナタとなり、古典主義以降、主流となっていく。その意味でも、この作品の意義は大きなものと言える。