ヘルマン・プライ シューマン 詩人の恋 Op.48

 ヘルマン・プライ、シューマン 詩人の恋 Op.48。ヴァルター・クリーンと共演した1962年の演奏。カール・エンゲル、レオナルド・ホカンソンとの共演がCDとなって、多くの人々が聴いている。

 第1曲「美しい5月に」から詩人の恋心が高揚、第6曲「清きラインの流れに」で頂点に達する。第7曲「恨まない」から失恋の思いが募り、第14曲「夜ごとの夢で」で諦念に達する。第15曲「おとぎ話から」、第16曲「昔の古い歌を」では回想、全てを捨てて生きる、新しい姿を描く。

 「おとぎ話から」ではベートーヴェン動機を用いている。この場合、おとぎ話の世界に遊びながら、現実の世界へと戻っていく詩人の心境を歌う中で、今までの余韻として用いた可能性がある。「昔の古い歌を」では、全てを捨て去って、新しく生きる詩人の姿を描く。シューマンの心の中で、恋の成就・結婚の喜びを歌いつつも、いずれ、自分が早死にするような予感を抱いたかもしれない。

 クリーンとの共演は、エンゲル、ホカンソンとの共演の陰に隠れているものの、プライの真価を伝えたものとして評価したい。みずみずしさに満ち溢れ、プライの魅力を伝えている。1997年、サントリーホールでのシューベルティアーデが最後の来日となった。この時は、ミヒャエル・エンドレスとの共演、シューベルトの真髄を伝えた名演だった。1998年、69歳でこの世を去り、その死は多くの人々に惜しまれた。

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コメント: 1
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    大屋正美 (火曜日, 29 10月 2024 07:48)

    クラシック音学館に投稿頂きありがとうございます。彼の声は大好きです。このCDを入手して聞きます。ありがとうございまた