フランスの名ピアニスト、アルフレット・コルトー、ショパン ワルツ Op.42。1934年6月9日、10日、ロンドンでのレコーディング。
コルトー全盛期のレコーディング、ショパンの特性が滲み出ている。ワルツの最高傑作をものの見事に演奏、歌心にもかけていない。颯爽というより、音楽としての纏まり、訴求力も素晴らしい。
シューマンは、ショパンのワルツについて、
「踊る相手は伯爵夫人でなければならない。」
と言わしめるほどの高雅さがあっても、ショパンの心の抒情詩であることも捉えている。ショパンは、シューマンについて、「音楽をやるアマチュア」とみなしたことも忘れてはいけない。母親、3人の兄たちが音楽を諦めさせ、法学に進んだとはいえ、音楽を捨てきれなかったシューマンの葛藤も重要である。シューマンは評論家としての活動も素晴らしい。存在も大きい。
コルトーは、シューマンも得意としていたことを踏まえると、ショパン、シューマンが同じ年に生まれ、あくまでもプロフェッショナルだったショパン、法学に進んだものの、音楽に進んだシューマンの本質を知り尽くしただろうか。バイロイトでは、ヴァーグナー音楽の副指揮者も務めたほど、ヴァーグナーにも傾聴したことも重要である。
フランス人でありながら、ドイツ・ロマン主義音楽に造詣が深く、ヴァーグナーにも通じたコルトーの偉大さも肯けようか。その意味でも貴重なレコーディングである。
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