北とぴあ国際音楽祭のフィナーレとなる寺神戸亮、レ・ボレアードによるバロック・オペラ、古典主義オペラは、モーツァルト最後のオペラ「皇帝ティートの慈悲」K.621であった。モーツァルト生誕250年記念の2006年、二期会がペーター・コンヴィチュニー(フランツ・コンヴィチュニーの息子)演出で上演してから18年後の上演となった。(29日 北とぴあ さくらホール)
今回は、寺神戸の弾き振りはなく、指揮中心となった。ティートにルーフス・ミュラー、正式にティートの皇后となったヴィテッリアにロベルタ・マレリ、側近のセストにはガイア・ペトローネ、セストの友人、アンニオには高橋幸恵、セストの妹でアンニオの妻となったセルヴィーリアには雨傘佳奈、親衛隊長ブブリオには大山大輔、大山による演出の上演となった。
セミ・オペラ形式とはいえ、歌手たちの実力の素晴らしさは言うまでもない。ミュラーは、マリア・ジョアン・ピレシュとのコンサートでも素晴らしい歌唱を見せてくれたことを思い出す。マレリは、ティートが正式に皇后に迎えることとなったのに、ティートへの反乱・暗殺を企てたことへの苦しみなどを見事に表現した。ヴィテッリアから反乱・暗殺を唆され、全てを認めた上で、罪を償うものの、最後は許されるセスト、ペトローネが見事に演じた。高橋、雨傘も見事な歌唱、表現力を見せた。大山も歌唱・演技・演出で見事な成果を上げた。
2025年は、ヘンデル「ロデリンタ」上演が決まった。どんな舞台・歌手陣になるかも楽しみである。北とぴあ国際音楽祭は、北区長がやまだ加奈子氏になっても、上演が続くことが望ましい。ただ、何でもムダだからなくすようなことは止めてほしい。必要なものは残す。それだけを心掛けてほしい。バロック・オペラなどの上演を続けるにあたり、寄付などを募っていくことは重要である。
北とぴあの施設全体について言及すれば、カフェ・レストランがなくなったことが気にかかる。そろそろ、どこか入ってもらえないかと感ずる。ホール近くのカフェ・レストランがあることで、食事をしたり、コーヒー・お菓子を食べたりして一服できるため、こうした施設を作ってほしい。できれば、施設全体の改修も視野に入れてほしい。
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