ヴラディーミル・ホロヴィッツによるショパン スケルツォ 第2番 Op.31。ホロヴィッツのショパンは、ルービンシュタイン、ハラシェヴィッチ、アシュケナージなどのような全曲盤ではないにせよ、聴いておくべき演奏の1つだろう。
ドラマティズム、抒情性が見事に調和している。ピアノの響きも心に響く。歌心も十分である。颯爽というより、味わい深い演奏である。
ホロヴィッツの来日が1983年、79歳の時で、当時は体調が悪かったためか、優れたできとは言えず、吉田秀和が、
「ひびの入った骨とう品。」
と酷評したことは有名である。入場料もS席50000円だったから、吉田も「骨董品」と評したことは肯ける。グールドは、録音中心のホロヴィッツがコンサートに復帰したことをよく思わず、攻撃の的にしていた。グールドは1982年、50歳で亡くなった。1983年も生きていたなら、嘲笑しただろう。かえって、幸運だったかもしれない。グールドがなくなった際、ホロヴィッツは花輪を送っていた。それなりのこともあっただろうか。1986年に来日した際、名演だったとはいえ、S席でも30000円ほどしたという。
ホロヴィッツは、1989年、85歳で亡くなり、イタリア、ミラノで葬儀が行われ、妻ワンダの父、アルトゥーロ・トスカニーニのそばに埋葬された。この年、カラヤンが亡くなり、1つの時代の終わりを象徴することとなった。
コメントをお書きください