カール・ベーム ベートーヴェン 交響曲 第5番 Op.67 1977年来日公演ライヴ

 カール・ベーム ヴィーン・フィルハーモニー管弦楽団、ベートーヴェン 交響曲 第5番 Op.67。1977年3月2日、東京 NHKホールでのライヴ。行きたくてたまらなかったので、NHKホール前で定価で譲ってもらった。その後、じっくり聴いた。この時、高校2年の3学期。

 第1楽章から素晴らしい演奏。第2楽章のじっくりと歌う姿勢。見事だった。もう一度、これを聴くと、純真な自分の姿に立ち戻る思いがする。大学受験の失敗、浪人、武蔵野音楽大学への進学。苦い思い出、新たな出会いもある。それらを乗り越え、今があることを思う。第3楽章はA-B-Aのままで、まだ、ペータース新原典版が流布していなかった。ベートーヴェン没後150年に当たるこの年、ベートーヴェンの会話帖にはアントン・シントラーの捏造があったことが明らかになった。研究者たちに大きな衝撃が走った。今は亡き児島新先生も言及していた。この場に居合わせて聴いた感動は忘れられない。第4楽章への移行、緊張感。主部に入ると、勝利の凱旋行進曲である。展開部最後の第3楽章の回想。そうだったか、と思わせる。再現部に戻ると、勝利が高まっていく。終演後の拍手。忘れられない。

 高校時代、のびのびと過ごしながら、音楽大学進学にとって大切なことがわからずじまいで苦労したとはいえ、武蔵野音楽大学音楽学学科のよき仲間たちとの出会いがあった。何人かの仲間たちとは、日本音楽学会で顔を会わせたりする。

先輩方、先生方。思い出深いものがある。このライヴを聴きながら、もう1度、あの時を振り返り、今を思う。