マルタ・アルゲリッチ、ルノー・キャプソン、リザ・チェン、ガブリエーレ・シェック、ミッシャ・マイスキーによるシューマン ピアノ5重奏曲 Op.44。アルゲリッチがこの作品を得意とし、さまざまな顔ぶれで演奏している。2016年のライヴ。
第1楽章の闊達さ。ロマン主義の深い味わいが見事に調和している。チェロにマイスキーを迎えていることは、マイスキーへの絶大な信頼感が感じられる。第2楽章の厳粛さ、豊かな抒情性が調和している。第3楽章がピアノが天空馬を駆け抜けるようなスケールの大きさを感じさせる。それでも、シューマンのロマンが豊かに香っている。第4楽章の見事さ。アルゲリッチの天空馬をいくピアノと弦が見事に調和して、素晴らしい盛り上がりを見せて締めくくる。
ヴァーグナーがシューマンの音楽には大変批判的だったとはいえ、この作品を大変評価している。シューマンは、オペラ「タンホイザー」について、「天才」と認めながら、時代が求める天才とは言い難いと評した。それゆえ、ブラームスを高く評価して、世に送り出したことが肯ける。
アルゲリッチがこの作品を深く愛し、素晴らしい仲間たちとの出会いによって、シューマンの音楽を自らのものとしている姿が伺える。
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